- ブログ
インビザライン矯正のために歯を削るディスキング(IPR)とは?その治療法とメリット
インビザラインは、目立たないだけでなく、抜歯が不要となりやすいので、多くの人が第一に希望される矯正法となっています。
ただし、症例によっては「ディスキング」または「IPR (Interproximal Enamel Reduction) 」と呼ばれる歯を削る処置が必要となることもあります。
今回はそんなインビザラインのディスキングについてわかりやすく解説します。
ディスキング(IPR)とは
「歯を削る」と聞くと、虫歯治療のようにハンドピースを用いた切削処置を思い浮かべるかもしれません。しかし、矯正治療における「ディスキング(IPR)」は少し異なります。
IPR専用のバーや、ヤスリのような器具を使って少しずつ、ていねいに研磨していくような形です。歯を削る量もごくわずかなのでご安心ください。ディスキングの際には、歯の接触面を明瞭化させるために歯間分離を行うため、ちょっとした不快症状を伴いますが、強い痛みが生じることもありません。
ディスキング(IPR)を行う5つの理由
インビザライン治療でディスキングを行う理由としては、以下の5つが挙げられます。
1:歯を綺麗に並べるための隙間を確保するため
ディスキングを行う主な理由は、不足しているスペースを確保するためです。乱ぐい歯や出っ歯などは、歯と歯の間に隙間がなく、そのままの状態ではきれいに歯を並べることができません。ディスキングによって歯を削り、適切な隙間を生じさせることで、インビザライン治療の仕上がりが良くなります。
2:上下左右の歯の大きさを整えるため
歯を単純に移動しただけでは、理想的な歯並びには近付きません。上下左右で同じ種類の歯の大きさが均等になることで、より美しく、よりしっかり噛み合うようになります。そうした歯の形・大きさのバランスを整える際にも、ディスキングが行われます。
3:出っ歯を改善するため
歯並びがデコボコになっている乱ぐい歯は、歯列を全体的に外側に広げることによって矯正できますが、その際、出っ歯の症状が出てしまうことがあります。インビザラインにおいては、基本的に抜歯を行わずに治療をするため、ある程度は避けられない症状です。しかし、ディスキングを行えば、歯と歯の間に適切な隙間が生じることで、前歯が前方に傾くリスクが少なくなります。
4:ブラックトライアングルの改善
歯は根元に進むにつれて、段々と狭くなっていきます。矯正後には、歯茎との位置関係上、狭くなった部分が露出してしまい「ブラックトライアングル」という症状が認められることがあります。これは歯間部の根本付近に三角形の空洞が生じる現象です。見た目が良くないだけでなく、食べ物が詰まりやすくなるというデメリットも生じます。ディスキングを行って歯間距離を縮めれば、ブラックトライアングルを改善することも可能です。
5:並んだ歯が動かないように固定するため
ディスキングによって歯間距離が短くなると、個々の歯が密に接触するようになります。結果的に、矯正した歯の固定効果が得られて、治療後の後戻り防止にも役立つのです。もちろん、通常のインビザライン治療と同様に、保定処置も必ず実施します。
ディスキング(IPR)のメリット・デメリット
インビザライン治療におけるディスキングには、次に挙げるようなメリット・デメリットを伴います。
ディスキングのメリット
・歯を抜かずに必要なスペースを確保できる
・上下左右の歯の形、サイズ、バランスを整えることができる
・ブラックトライアングルを改善できる
・矯正後の出っ歯の症状を防止できる
・移動した歯の後戻りを予防できる
ディスキングのデメリット
・健康な歯質を削らなければならない
・確保できるスペースには限界がある
・歯を削る前処置としての歯間分離で強い圧迫感が生じる
・処置の最中に歯茎から出血することがある
まとめ
歯を削ってスペースを確保するディスキング(IPR)は、上下左右の歯のバランスを整えたり、矯正後の出っ歯や後戻りを防止したりする上で非常に有用です。健康な歯質を削らなければならないというデメリットも伴いますが、切削量は最小限に抑えるよう努めておりますのでご安心ください。
当医院の詳しいインビザライン治療についてはぜひインビザラインページをご覧ください。
また、ディスキングを行うかどうかは、必ず事前にお伝えし、ご納得いただいた場合に限り実施しております。ディスキングに関して不安な点や疑問に思う点があれば、いつでもお気軽に当院までご相談ください。
執筆者情報
院長(歯学博士)
森蔭 直広Naohiro Morikage
飯田橋エトワール歯科医院のホームページにご訪問いただき、ありがとうございます。
当院では働く方でも通いやすいように、お昼休みの時間帯や土曜日の診療も行っております。また、安心して治療を受けていただけるように、徹底した衛生管理と高品質な治療設備を導入し、患者さん一人ひとりに合わせた適切な診断と治療をご提供できるよう心がけております。お忙しくてなかなか歯科医院に行けなかったという方も、ライフスタイルに合わせた短期間で正確な治療プランをご提案いたしますので、ぜひご相談ください。
経歴
-
2011年
日本大学歯学部総合診療科にて研修
-
2012年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 入局
-
2013年
日本大学歯学部口腔診断科学講座 専修医
-
2014年
奥羽大学歯学部口腔外科学講座 臨床助手
-
2015年
都内開業医勤務
-
2018年
飯田橋エトワール歯科医院 開院
所属学会
- 日本口腔診断学会 会員
- 日本口腔顔面痛学会 会員
- 日本口腔外科学会 会員
- 日本口腔インプラント学会 会員
- 日本臨床歯科CADCAM学会 会員
- 日本アライナー矯正歯科研究会 会員
修了セミナー
[全顎的治療]
- Education for Oral Rehabilitation ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
[アライナー矯正]
- アライナー矯正治療コース(尾島賢治先生)
[CEREC]
- CEREC Basic Course (風間龍之輔先生)
- CEREC道場(北道敏行先生)
- CERECコース(小池軍平先生)
[審美歯科、保存修復]
- ダイレクトボンディング ベーシック・マスターコース(高橋登先生)
- プレパレーションセミナー(岩田淳先生)
- C.R.E.Dセミナー(高田光彦先生)
- ADI 実践コース (二宮佑介先生、榊航利先生)
- Anterior&Posterior Restoration-2days Lecture(Marco Gresnigt先生)
[歯周病]
- JIPIぺリオコース(牧草一人先生)
[インプラント]
- Urban Regeneration Institute Advanced Hard and Soft Tissue Course(Istvan Urban先生)
- 水口インプラント道場 (水口稔之先生)
- ブローネマルク・コンセプトによるインプラント・コース(小宮山 彌太郎先生)
- SBICインプラントコース (中澤玲先生)
- 生体主導型歯科臨床セミナー (山道信之先生)